修了1年半後「仕事をやめたい」(20代、知的障がいの男性)
せっつくすのきが取り組んだ、アフターケア(定着支援)の事例です。
相談内容
修了生のAさんより、「相談したいことがある」と電話がある。
就労に支障がないように日程調整の上、面談を行う。
「仕事内容が難しくて、続けられない。もうやめたいと思っている」ということだった。
対応1
本人から状況についてよく聞き取りの上、就業場所を訪問。就労の様子を観察したうえで、現場担当者からも話を伺った。
事業所からの声
就職して1年半が経ち、新しい仕事も覚えてほしいと思っている。
今までの仕事ぶりから、新しい仕事もできるはずなのに、なぜかうまくいかない。
訪問した職員の見解
Aさんの力は高く評価されているが、それゆえ、本人の能力以上の仕事を求められている。
言いたいことをすべて伝えるのは難しいというAさんの特性上、しっかり事業所に気持ちも伝えきれていないようだ。
自閉的傾向が強いAさんは、新しいことへの対応により多くの時間を必要とする。
仕事内容の指導方法について、職員も共に考えさせていただけると様々な工夫案が出てくるのではないか。
対応2
上記、職員の見解を事業所に伝えたうえ、定期的に訪問を続け、Aさんに適した指導方法をアドバイスさせていただく。
障がい特性についても、改めて職員から事業所にわかりやすく具体的に説明をし、担当現場の方に理解していただいた。Aさんにも、仕事に必要なコミュニケーション方法について改めて指導。
結果
Aさん:自分が必要とされていることを実感し、気持ちも新たに仕事を続けることができた。
事業所側:Aさんに何をどこまで求めるかについて、仕事内容を整理。離職を食い止めることができた。
知的障がい者への指示や指導は、個々の特性に応じた対応が求められ、仕事内容や職場環境が変化する中、有効な方法を見つけるのに時間を費やすこともあるでしょう。
また、知的障がい者自身が自分のできること、できないことを正確に把握し、事業所へしっかり正確に伝えることは容易ではないかもしれません。
せっつくすのきは、本人ができることとできないことを明確にし、且つ今できないことでも様々なやり方によってできるようになることがあるという視点で指導を行っています。
そのような中、訓練生の障がい特性やできること、できないことを事業所にしっかりとお伝えし、就労後も必要に応じて指導やアドバイスに関わらせていただく。
せっつ くすのきが間に入り、このケースのような取り組みを行うことで、多くの修了生、そして事業所にお役に立てることがあると思います。
修了生が職業人として大いに成長できるように導いていき、修了し何年か後には立派な社会人としてバリバリ働いている姿を見るのが私たちの願いです。
くすのきでは、障がい者の就労支援を長きに渡り行ってきた中で、ほんの少しのボタンのかけ違いから、修了生が離職に至ってしまった苦い経験も少なくありません。
それをできるだけ未然に防ぐこともまた、私達の役割であると考えています。